国内において、地球温暖化対策を推進するためには、直接規制や排出量取引制度、課税措置、税の減免措置及び補助金等の経済的手法、社会基盤整備等様々なものがあります。
温室効果ガスの削減へ向けた低炭素社会の構築が世界的な潮流となる中、1990年代以降、欧州各国を中心に環境関連税制の見直し、強化が進んでいます。我が国では、2012年10月1日から、温室効果ガスの約9割を占めるエネルギー起源の二酸化炭素の排出を抑制するため、燃料などの二酸化炭素排出源に対する課税を強化する「地球温暖化対策のための課税の特例」が導入されています。
また、自然豊かな日本には、大きな再生可能エネルギーのポテンシャルがあるものの、コストが高いなどの理由によりこれまで十分に普及が進んできませんでした。そこで、再生可能エネルギーの利用を促進するために、2012年7月1日から全量固定価格買取制度が始まりました。再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める一定の期間、一定の価格で電気事業者が買い取ることを義務づける制度です。
CO2の排出総量の目標量を決定し、制度の対象となる事業者に排出枠を割り当て、排出枠を超過した事業者は、排出枠を余らせた事業者あるいは市場から排出枠を買い取ることとする排出量取引制度といった施策手法もありますが、様々な問題点もあり、慎重な検討が必要であると考えます。
地球温暖化対策は待ったなしの課題です。そして人類が全員参加で取り組んでいかなければ解決できない問題であります。とりわけ、先進国の責務は大きく、今後とも日本は低炭素社会をめざして積極的に対策に取り組んでいかなければなりません。その際には我が国のエネルギー構造や産業構造、国民生活の現状や将来の姿等を踏まえて実現可能な地球温暖化対策を組み立てていく必要があると考えます。