長期的に我が国のCO2排出量を大幅に減らすためには、省エネ技術の前進、次世代自動車の開発・実用化の促進、風力発電、太陽光発電など再生可能エネルギーへのシフト、蓄電池の活用、CCS(二酸化炭素回収貯留)の実用化など既存の技術をさらに普及させるとともに、革新的技術開発に真剣に取り組むことが必要不可欠です。それが我が国の経済的な国際競争力を向上させ、国力の源泉となっていくと考えます。
また、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、我が国の状況及び今後めざすべき社会の姿を見据えて地球温暖化対策を組み立てていくことが重要です。
再生可能エネルギーの中でも、風力発電は2035年までに最も発電量の増加が大きいと見込まれる分野であり、世界の総発電量に占める割合が2008年の約1%から2035年には約8%へ拡大するとされています。日本では、風の弱い地域でも効率よく発電を行う風力タービンを開発しており、こうした技術が世界でも高く評価されています。さらに、洋上風力発電の導入をめざした取組が進められています。
また、我が国が豊富なポテンシャルを有する地熱発電も、純国産資源として、今後自然環境と調和しつつ、さらなる発掘が進められる予定です。
次世代自動車としては、水素自動車、燃料電池自動車、電気自動車などがありますが、いずれにも長所、短所があるため、世界各国では一つに絞ることなく併行して開発が進められ、実用化に向けた競争が始まっています。
また、太陽光発電や風力発電等の不安定な出力を平準化するため、あるいは、余剰電力を貯蔵するため、蓄電池が重要な役割を果たすといわれています。電気自動車等の次世代自動車の動力源としても高性能かつ低価格の蓄電池が必要とされており、開発が急がれています。
いかに優れた環境技術と言えども、実際に製品やサービスの形で需要と結びついてこそ社会を変えていくことができるのです。低炭素な技術を活かした様々な製品・サービスを、我々のライフスタイル、ビジネススタイルの中で、どこでも、誰もが使っているというように、徹底的に浸透させることが必要です。そのためには様々な形で国民運動を起こし、あらゆる主体が参加して推進していかなければなりません。