地球温暖化対策については、新しい国際ルール作りに向けた国際交渉を進めるとともに、我が国自身の国内対策を強化することが重要です。
我が国の京都議定書における削減約束は6%ですが、このうち3.8%までは森林経営による吸収量を算入できます。また、政府がクリーン開発メカニズム等の京都メカニズムを活用し、国外での削減分で1.6%をまかなうこととしています。
世界全体の排出量を現状から2050年までに半減するとの目標を世界と共有し、かつ我が国の排出量を1990年比で80%削減するとの長期目標を達成するため、まずは京都議定書の6%削減約束の確実な達成を図り、さらに、長期的・継続的で、大幅な排出削減に向けた努力が必要となります。
そもそもどうして我が国の排出量が増えているのかということですが、まず「産業部門」のCO2排出量は増えていません。産業部門の省エネは進み、また産業界は自主行動計画を作り、着実にCO2削減に取り組んでいます。
「運輸部門」も、自動車が大型化し、走行距離も伸びているため、基準年と比較するとCO2排出量は増加していますが、ハイブリット車の普及などにより、このところのCO2排出量は減少傾向にあります。
しかしながら、オフィスビル等の「業務その他部門」と「家庭部門」のCO2排出量はいずれも基準年比30%以上の増加となっており、これが大問題なのです。
次々と新しいオフィスビル等が建ち床面積が増えており、それに伴って照明や空調の使用が増え、またパソコン等の普及によって電力の使用が増大しています。
今後は建築物の省エネ性能を向上させ、様々な省エネ機器や高効率空調機や高効率照明の普及を図っていかなければなりません。
そして家庭部門の増大は、核家族化による世帯数の増加、そして一つの家庭でも家電製品やパソコン等の台数が増えていることが原因です。
最近の家電製品は非常にエネルギー効率の良い省エネ製品になっていますが、何しろ台数が増えています。私の小さい頃は子供部屋にはクーラーはありませんでした。今は、クーラーは各家庭のどの部屋にも付いていると思います。それから例えばテレビが何台もある家が結構あると思います。一つ一つのテレビは省エネになっているのですが、台数が増えています。そしてパソコンの普及が著しく、またパソコンのスイッチをつけっぱなしにしている人が多いと思うのです。さらに、テレビの主電源が入っていれば電力を使います。待機電力と呼んでいますが、これらをあわせると家庭での電力消費量はどんどん増えているのです。つまり国全体として省エネを進め、温暖化を防止するには、我々のライフスタイル、生活様式を見直していくことがどうしても必要になると思います。